書籍レビュー:うつ病は心の弱さが原因ではない ウイルス原因説から見えるうつ病治療の未来

うつ病の原因はウイルス?となかなか衝撃的なタイトルから読んでみました。この本はマンガなので、文字を読むのが苦手な方でも読みやすいと思います。この本によりますと、抗うつ薬のSSRIのうつ病に対する効果は50%とも言われています。うつ病に苦しんでいる半分の人はSSRIが効かないと言うことですね…。

日本ではSSRIは精神科(心療内科)でなければ処方されませんが、アメリカでは普通の内科で簡単に処方されていることには驚きです。他にもSSRIに関する情報は色々と驚かされました。うつ病と診断されなくても、単なる気分の落ち込み、短期的な抑うつ状態でも普通に使うそうです。

現在のうつ病は発病する明確な原因がわかっておらず、対症療法としてセロトニンを増やすなどの薬を使うことで治療をしています。この本では対症療法ではなく、根底にある原因がウイルス原因説であることを主張し、原因をなくそうと言う新しい試みのようです。

この本では、うつ病のセロトニン説を否定されていますが、私としては…うつ病とセロトニンには密接な関係があると思います。専門家の間でもうつ病は体の問題なのか…心の問題なのか、実に2000年も経過して未だに答えの出ていない問題らしいので、色々な意見があるのは当然でしょうか。

肝心のウイルス感染説ですが、本の半分以上を過ぎた第5章でようやく登場します。詳細はぜひ本を読んで欲しいのですが、科学的な見地に立ってうつ病の発症原因に関係するウイルスの存在が明らかになります。読んでいて、思わず「へー、なるほどねぇ」と唸ってしまうほどです。

まだ普通に使える段階ではないようですが、詳しくウイルスの存在を確認する検査も可能になっており、うつ病の発症をしていない状態であっても、将来的にうつ病になりやすい傾向も知ることができるらしいです。

まぁ…ウイルスだけがうつ病を引き起こす訳ではないので、「うつ病の原因はウイルスだ!」と言ってはいけないのだそうです。今までは単にメンタルが弱いとかの精神論で語られていた部分に科学のメスが入ったことはとても大きいと思います。

それ以外にもうつ病に関係する遺伝子が人間の進化にも影響している可能性など、マンガである点を含めてですが、読んでいて飽きない内容でした。

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